1.南部甚句

2.南部あいや節

3.南部よされ節

4.南部馬方三下り

5.南部追分

6.南部荷方節

7.南部都々逸

  
     

南部甚句

春の初めに ハァ〆縄張りて
折り目節目に ハァーサー金がなる
鮫で飲む茶は ハァ渋茶も甘い
鮫は水がら ハァーサー心がら
浜の松から ハァ塩釜見れば
お客もてなす ハァーサー茶屋のかがぁ
鮫の蕪島 ハァ回れや一里
鴎くるくる ハァーサー日が暮れる
新地裏町 ハァ夜明けに通れば
太鼓つづみで ハァーサー夜が明ける
寄せてくだんせ ハァ戻りの節は
一夜なれども ハァーサー鮫浦へ

南部あいや節

アイヤー
あいの山にはお杉とお玉
お杉三味ひくヤレハア玉踊る
アイヤー
鮎は瀬に着く鳥ゃ木に止まる
私や貴方のヤレハァ目に止まる
アイヤー
あいはもやくや煙草の煙
次第次第にヤレハァ薄くなる
アイヤー
長く咲く花胡桃の花よ
末を案じてヤレハァ丸くなる
アイヤー
竹の切り口シコタンコタンと
なみなみたっぷり溜まりし水は
飲めば甘露のヤレハァ味がする
アイヤー
竹に雀が
あちらの山からこちらの山へと
チュンチュンパタパタ
小羽をそろえて
仲良く止まるヤレ
私や貴方のヤレハァ気に止まる

南部よされ節

よされ駒下駄の
鼻緒が切れたヨサレサァヨサエー
誰がたてたか
ヨサ又切れたヨサレサァヨサエー
何をくよくよ
川端柳ヨサレサァヨサエー
水の流れを
ヨサ見て暮らすヨサレサァヨサエー
声の良いのに
唄せて聞けばヨサレサァヨサエー
松の林の
ヨサ蝉の声ヨサレサァヨサエー
よされ茶屋のかがぁ
花染めのたすきヨサレサァヨサエー
肩に掛からねで
ヨサ気に掛かるヨサレサァヨサエー
よされ茶屋のかがぁ
お客を設けたヨサレサァヨサエー
客と思えや
ヨサ福の神ヨサレサァヨサエー

南部馬方三下り

朝の ハァ出がけに ハァ山々見れば
霧の ハァ掛からぬ山も無い
南部 ハァ良いとこ ハァ名馬の出所
一度 ハァお出でよ駒買いに
袖と ハァ袖とに ハァ手を入れかけて
これが ハァ博労の幕の内
辛い ハァものだよ ハァ博労の夜道
七日 ハァ七夜の七手綱
かがよ ハァ今来た ハァ味噌米あるな
なんの ハァ味噌米塩も無い
おらも ハァ成りたや ハァ博労のかがぁに
いつも ハァ葦毛の駒に乗る
あねこ ハァ起きろよ ハァ浅草刈りに
朝の ハァそよ風身の薬

南部追分

西は ハァ追分 ハァ東は関所
関所 ハァ番所でままならぬ
忍路 ハァ高島 ハァ及びもないが
せめて ハァ歌棄磯谷まで
沖を ハァ眺めて ハァほろりと涙
空飛ぶ ハァ鴎がままならぬ
逢いたい ハァ見たいは ハァ山々なれど
悲しや ハァ浮世はままならぬ
今宵 ハァ一夜で ハァ峠を越せや
さぞや ハァ妻子が待ちかねる

南部荷方節

にがた ハァ出てから
ハァ昨日今日で七日
七日ハァなれども
ハァまだ会わぬ
傘を ハァ忘れた
ハァ敦賀の茶屋に
雨のハァ降るたび
ハァ思い出す
傘を ハァ手に持ち
ハァ暇を願い
かさねハァがさねの
ハァ暇ごい
佐渡で ハァ蕾持ち
ハァ新潟で開く
とかくハァ新潟
ハァ花どころ
にがた ハァ出てから
ハァまだ帯解けぬ
帯はハァ解けぬに
ハァ気はとける
にがた ハァ出てから
ハァ青島沖に
船はハァ出船で
ハァままならぬ

南部都々逸

都々逸は 下手でも やりくり上手
今朝も質屋で褒められた
白鷺は 小首かしげて 二の脚踏んで
やつれ姿に水鏡
韓信は 股を潜るも 時世と時節
踏まれし草にも花が咲く
大海の 水を飲んでも鰯は鰯
泥水飲んでも鯉は鯉
朝顔は 馬鹿な花だよ 根の無い竹に
命捧げて絡みつく